はじめに
道尾秀介さんの『N』を読みました。
その題名の意味と登場人物や話の時系列をまとめました。
ネタバレを多いに含みますので、まだ未読のかたはご注意ください。
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『N』の意味
答えは自然数のNです。
その意味にたどり着くまで
紹介文では
「読む人によって色が変わる物語をつくりたいと思いました。
本書は六つの章で構成されていますが、読む順番は自由です。
はじめに、それぞれの章の冒頭部分だけが書かれています。
読みたいと思った章を選び、そのページに移動してください。
物語のかたちは、6×5×4×3×2×1=720通り。
読者の皆様に、自分だけの物語を体験していただければ幸いです」
――道尾秀介
とあります。
本を開くとはじめに
『なぜ、笑う？名前を変えればこの物語はあなたのことなのに』
というはホラティウスの言葉が書いてあります。
そして『本書の読み方』が書いてあり、それは各章の冒頭1ページが書いてあり、
その章を読みたければ○ページに移動してくださいというものです。
さらに、章と章の間は本を逆さまにしないと読めないというものでした。
私ははじめは各章で全く違う話が描かれているのでは？
と予想したのですが、
予想に反し、同じ街を舞台に主人公が変わって行くスタイルでした。
私は紹介されている順に読み、
各章を読むごとに『N』を探すことにしました。
各章の題名は
『名のない毒液と花』
『落ちない魔球と鳥』
『笑わない少女の死』
『飛べない雄蜂の嘘』
『消えない硝子の星』
『眠らない刑事と犬』
です。
『名のない毒液と花』で題名が『N』で始まるのでクリアです。
『落ちない魔球と鳥』では永海(ながみ)という登場人物がいたので取り合えずよしとしました。
しかし『笑わない少女の死』で『N』が出てこず(のちに主人公の名前が新間(にいま)であるとわかりますが)『N』探しを一度保留にしました。
『飛べない雄蜂の嘘』でこんな一文が出できました。
“昆虫の数を自然数＝Nとすると、パターンの数はその階階乗”
あとは最後まで読んでも『N』にこだわりを感じなかったので
『N＝自然数』ということで納得しました。
計算も6×5×4×3×2×1＝720で紹介文とも合っていましたので。
答え合わせ
そして道尾秀介さんがインタビューでタイトルをどうやって決めたのか聞かれ
“ゼロから考えることにして、
本のコンセプトとストーリーの大もとにあるものを端的に表せるものを考えて
「N」という文字が出てきました。
自然数のN。Nの数だけ人生があるという意味を込めたいなと。”
と答えている記事を見つけました。記事はこちら↓
720通りの読み方がある、道尾秀介『Ｎ（エヌ）』刊行記念インタビュー「自分だけの物語を体験してもらいたい」 | インタビュー | Book Bang －ブックバン－
もうひとつ考えた♯♯NAME♯♯
もう一つ私が考えた『N』は“NAME”のNです。
冒頭にあった
『なぜ、笑う？名前を変えればこの物語はあなたのことなのに』
という言葉から
登場人物の名前を♯♯NAME♯♯でと記入して
NAMEの部分に自分の名前を入れればその部分がすべて自分の名前に変換される
という機能が昔、夢小説を書く機能であったことを思い出したからです。
残念ながら私は小説を書いたことがないので、
うろ覚えで機能名などもわからないのですが…。
登場人物とその繋がり
『名のない毒液と花』
舞台
冒頭【今】シルバーウイーク
語られるのは【13年前】の話。
主人公 吉岡利香(旧姓真鍋)24歳
その夫 吉岡精一24歳
江添正見23歳とペット探偵を始める。
吉岡利香の理科の授業の生徒 飯沼和真15歳
飯沼和真の担任 新間先生40代後半
事件後、見回りに来た30代前半の女刑事→『眠らない刑事と犬』で小野田当時33歳と判明。
『落ちない魔球と鳥』
舞台
【今】シルバーウイーク
小湊英雄 高校3年生
主人公弟 小湊普哉 高校1年→中学時代の英語の先生は新間
殿沢 野球部の先輩
堤防で釣りをしているニシキモ
50年ぶりに街で起こった殺人事件
ヨウムの飼い主 永海千奈海→ペット探偵江添にヨウム探しを依頼。
『笑わない少女の死』
舞台
【今】より半年前
主人公 定年退職した新間
死んだ10歳の少女→『消えない硝子の星』でオリアナと判明
『飛べない雄蜂の嘘』
舞台
【1989年】
主人公 わたし→『消えない硝子の星』でちえと判明
恋人 田坂
錦茂30前後『落ちない魔球と鳥』で釣りをしていたニシキモと同一人物
『消えない硝子の星』
舞台
冒頭【今】
語られるのは1年ほど前のこと？(ハロウィン後2か月生きたとある)
主人公 飯沼和真 28歳(『名のない毒液と花』で自殺しようとした当時中学3年生)
オリアナ10歳
母 ホリー36歳→個展でちえ(『消えない硝子の星』の主人公)と出会った。
伯母ステラ
『眠らない刑事と犬』
舞台
【今】シルバーウイーク
主人公 小野田 女刑事46歳(『名のない毒液と花』で6歳の息子がいると話している。)
息子 小野田啓介19歳
殺人事件の被害者 木崎春義、木崎明代夫妻
息子木崎貴也23歳
小野田が犯行の手がかりになるかもしれない犬の捜索を江添に依頼する。
『落ちない魔球と鳥』で出できたヨウムを探しているとき。
江添のが6歳のとき家で現金が盗まれた。
その犯人は錦茂。
時系列
1989年
『飛べない雄蜂の嘘』
2008年(仮)
【今】より13年前(本の発行が2021年なので2008年とする)
『名のない毒液と花』
2008年(仮)の3月
『消えない硝子の星』でホリーはハロウィン後2ヶ月生きたあり、
『笑わない少女の死』で3か月前に少女(オリアナ)の母親が死んだ、とあるから
新見が旅行に行ったのは3月。
【今】2021年(仮)シルバーウイーク9月
『消えない硝子の星』の和真が飛行機で日本に向かったのもシルバーウイーク
『落ちない魔球と鳥』『眠らない刑事と犬』
この2つの話はほぼ同時期に起こっている。
『落ちない魔球と鳥』で江添がヨウム探しを依頼され、
『眠らない刑事と犬』で小野田がヨウムを捕まえようとする江添を目撃するシーンがある。
『笑わない少女の死』は定年退職後の新見がアイルランド旅行に行く話で、
『落ちない魔球と鳥』で主人公普哉が
今年3月に定年退職したという新見に会っている。
『名のない毒液と花』の現在パートで、江添が徹夜で犬を探したとと言っている。
その犬は『眠らない刑事と犬』で探していた犬のこと。
各話ネタバレ
名のない毒液と花
本を逆さまにして読む。
旦那(吉岡精一)が旦那の友達(江添正見)のせいで死んだ。交通事故。
ペット探しの仕事。
ペットいなくなって島で見かけた情報。
依頼者の旦那がペットを捨てていた。
奥さんはペットに浮気相手の名前をつけていた。
その犬を引き取る。
主人公は中学校の先生で、生徒の親が不良にバイクで轢かれて殺されて、
不良になって、母親を殺した不良を毒で殺そうとしてる
と、思ったら自分がそいつらの目の前で毒を飲もうとした。それを助ける。
道の反対側で呼ばれて飛び出して旦那は轢かれ死亡。
江添が犬に死んだ吉岡精一の名を付ける。
島に毒ニンジンが生えてたから、生徒の異変に気付いた。
13年たっても江添からお金が入金される。
落ちない魔球と鳥
ヨウムに『死んでくれない？』と言ったのはチナミが自分に向かって。
母の再婚とか受験の重圧とか。
兄は甲子園に行けるかの決勝戦前に練習し過ぎで肘をこわし、
DMでお前のせいで負けた。死んでくれない？DMを送ったのは殿沢。
と言われ、翌日首を吊った。
兄の気持ちを理解しようと、
兄の真似をして海岸でフォークボールを練習していた。
フォークボールのほうが落ちない。自然落下にちかい。
ストレートは強い上向きの回転が、かかっていて落ちずに球が伸びる。
要するにどちらかというとストレートのほうが変化球。
何もない人生のほうが、つらくて哀しいことが、
何ひとつ起きない人生のほうが特別なのだ。
ニシキモさんと海で5つの光が花のように咲いていくのを見る。
ずっと見たかった。わからないことを考え続ける主人公。
笑わない少女の死
本を逆さまにして読む。
アイルランドでは死者の魂が蝶になって飛んでいくと言われている。
新間が箱を開けてしまったから、
少女の母の魂の蝶がいなくなった。
箱を開けたとき目を箱から離している。その隙に蝶がにげた？
少女は蝶を探して飛び出して交通事故で死んだ。
飛べない雄蜂の嘘
バブル崩壊のころ。
ニシキモの過去。漢字は錦茂。
子どものころ家庭内暴力で父親が母親を刺した。
夜盗をするために入った家で、同じような状況を目にし、
女を助けるために男を殺そうとした。
実際殺したのは女だけど、その男を殺しにきたと嘘をついた。
前話の蝶はルリシジミで英語で『Holly Blue』
『I saw a horribe…』恐ろしい(形容詞)ではなく
『Holly Blue』といっていた。私は蝶を見つけた、と言っていた。
消えない硝子の星
本を逆さまにして読む。
前話、オリアナが10歳のとき母親を癌で看取るときの看護師視点の話。
ターミナルケア。
看護師はカズマ。名前のない毒で母を殺された飯沼和真。
母、ホリーにホーリーブルー(蝶)を教えたのはチエという、日本人。
飛べない雄蜂の〜の女。
オリアナは母親が、死ぬことを知っていた。
カズマは英語が下手。
カズマが中学で英語を習ったのは新間先生。笑わない少女の死の主人公。
オリアナは“夜明け”ステラは“星”を意味するから合わない。
幸運のお守り。シーグラス。ウラン硝子のシーグラス。ウラン硝子は希少。
オリアナと探しにいく。
カズマはウラン硝子を買って削って仕込む。
オリアナは見つからないから探そうと思っていた。
そうすれば母親の死を自分のせいにできるから。
ステラはお守りをもうなくしたと嘘をついて
同じくオリアナに見つけさせようとした。
お守りを今も持ってるとわかったら効果がないことになるから。
オリアナは本当にウラン硝子のシーグラスを見つけた。
ステラはカズマが仕込んた偽物を本物だと思って見つけた。
オリアナがみつけたのはステラが仕込んたシーグラスではないか？
日本に帰る飛行機で光の花を見る。
眠らない刑事と犬
50年ぶりに街で起こった殺人事件。
犯人は殺された夫婦の息子。
刑事の主人公(シンママ)は、
殺人事件が起きた家の隣に住んでいて、
引きこもりの息子・小野田啓介19歳を疑っていた。
現場からいなくなった飼い犬探しをペット探偵江添に依頼する。
江添は6歳のころ母親にお金を盗んだ疑いをかけられて家出した。
啓介は隣人とトラブルを起こしていた
「夜中犬の鳴き声がうるさい」とか包丁もって侵入したりとか。
それは、殺人事件が起こった家の息子が犬を殴ってたから、助けようとしていた。
江添は吉岡の名前を犬につけていた。
10年以上前。
江添は子どものころ北に住んでた。
母の浮気で父親がお金をおいてでていった。
年末そのお金が盗まれた。
1月下旬窃盗犯がつかまり、余罪で白状した。その窃盗犯は錦茂。
おわりに
薄明光線(天使の梯子)が5つ同時に出て、
花が咲くようにみえる。
という描写が何度か出てくるのですが、いまいちイメージできません。
順番を変えて読むと印象が変わるのでしょうか？
一度最後まで読んでしまったら真相はわかりません。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
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