はじめに
先日(2023年11月8日)凪良ゆうさんの新刊『星を編む』が発売されました。
その本は前作『汝、星のごとく』の続編です。
そのため『汝、星のごとく』を読み返し登場人物とあらすじ、名言をまとめました。
『星を編む』を読む前にこのブログを読むことでおさらいができ
『星を編む』をよりいっそう楽しむことができます。
登場人物
・青埜櫂(あおのかい)…プロの漫画原作者。
・青埜ほのか…櫂の母親。恋人がすべて。水商売。
・井上暁海(いのうえあきみ)…刺繍が趣味。仕事にしたいと憧れをもつ。
・暁海の母親…旦那を浮気相手にとられ精神不安定。専業主婦。
・久住尚人(くずみなおと)…漫画の作画担当。櫂の2つ年上。ゲイ。
・安藤圭…尚人の恋人。付き合いはじめは高校生だった。
・植木…櫂と尚人の漫画作品の編集者。
・二階堂絵里…老舗出版社の文芸編集者。妻子持ちの担当作家と不倫関係。
・林瞳子(はやしとうこ)…暁海の父親の浮気相手。オートクチュール刺繍作家。
・北原先生…櫂たちの高校の化学の先生。シングルファーザー。
・北原結(ゆう)…北原先生の娘。
・明日見菜々…結の母親。
相関図
あらすじ
青埜櫂は水商売の母親がいる。母親が男を追いかけて瀬戸内の小さな島に引っ越してきた。
そこで井上暁海と出会う。
暁海は父親に浮気されて精神不安定な母がいた。
父親は浮気相手の方に行ってしまう。
2人は 17歳の夏から付き合うが、櫂が漫画の原作者として成功し、上京。
暁海は母親を見捨てられず、島に残ることになり、すれ違いが生じはじめ別れてしまうが…。
感想
心にしみる、幸せじゃないはずなのに羨ましい話だった。
「幸せ」のかたちを決めることはできない。
それぞれ母親に振り回された高校生の恋人同士が
大人になって、14年後にまたくっつく話
それぞれが自立しないと成り立たないことがわかっているけどつらい
ふたりとも夢を叶えてすごい。
そのタイミングが合わなくても、
また一緒になれたのはやっぱり運命の人なんだろうな。
幸せにしてくれるかな?じゃだめなのだ。
幸せになれるかな?じゃないと。
もっと早く頼ればいいじゃん、と思ってしまったけど暁海は強いな。
逆に最悪のタイミングで頼っちゃったし。
優しいのは弱さ
必要なのは頭を空っぽにする、その一瞬だけ
『ひとりで生きる』ことはこわい
自分を縛る鎖は自分で選ぶ
助け合いと依存は違う。自立しているから、ふたりで一緒になれる
愛する人と手を繋いて死ねた櫂は羨ましい
結婚という形を保ったままの暁海も。
北原先生は離婚しないと思う。
ラストで『星』て暁海のことっぽいけど
私はお互いがお互いを星だと思っているように感じた。
ネタバレ
登場人物が2人死にます。
18歳。
櫂は漫画原作者(作画は尚人)としてプロデビューが決まり、高校卒業後東京へ引っ越した。
22歳でお盆に帰ってきた時にプロポーズするが、冗談にされた。
24歳。
漫画がアニメ化。いわゆる“お金持ち”になり、浮気もしていた。
一方、暁海は母親のせいで大学進学を諦め、男尊女卑の会社に就職。
趣味で続けていたオートクチュール刺繍(師匠は瞳子)の商品がはじめて売れた。
儲けはない。
格差を感じ「もうフってくれればいいのに」と思っていた。
浮気にも気づいていた。
喧嘩して「結婚しようか」と言われるが別れる。
櫂、25歳。
尚人が圭君と付き合っていたことで
男子高校生に淫行疑惑が出てしまい連載が打ち切りになった。
実際に高校卒業していたがまだ誕生日が来ていなくて未成年だった。
それよりも親がゲイを受け入れられなかったため、
尚人にたぶらかされたと思いたかった。
暁海、26歳。
櫂と別れたら少しは楽になれると思っていたがずっと後悔していた。
刺繍が少しずつ仕事になっていた。
母親が宗教にはまり貯金をすべて使われてしまった。
母親に「青埜君と復縁できますように」と祈っていたと言われ
もう限界になり母を責めた。
すると母親は発作的に車で出かけ交通事故を起こしてしまった。
そして400万の借金ができてしまい瞳子と父親に借りに行った。
しかし、瞳子たちはちょうど島にカフェ兼アンテナショップをオープンしようと
融資を受けたばかりだった為、100万しか貸すことができなかった。
そこで櫂のところに行って300万借りた。
その帰り道はじめて櫂が連載を止められていることを知った。
ショックを受け「自分のことは自分で支えろ二度と泣き言はいうな。
そんな暇があれば金を稼げ。涙を拭く時間があれば一歩でも進め。強くなれ。」
と島で生きていく決意し、瞳子に仕事をくださいと頭を下げる。
櫂、28歳 夏。
炎上から二年がたったが連載は再開しない。
圭はSNSで出身校と実名顔写真が晒され大学に行けなくなった。
圭の親ににガードされ尚人は圭と連絡が取れないまま一方的に別れを告げられた。
圭は大学を休学して海外へ。
尚人は自殺未遂。
尚人の淫行疑惑騒動のときから二階堂は櫂に小説を書くことを勧めていた。
暁海からは毎月3万5千円ずつ給料日あとの26日に返金があった。
それだけが2人の繋がりだと感じる櫂。
酔った勢いで暁海に「4万返せない?」とメッセージ送るとすぐ返信があった。
今までも復縁を望むメッセージを送っていたが返信はなかった。
暁海は動揺し、お酒の勢いでIターン組の一人と寝てしまう。
しかし男には正式な彼女がいたので、また島から白い目で見られるようになった。
北原先生に「足りないもの同士、互助会感覚で結婚しませんか」と言われる。
北原先生はと前の学校で当時の教え子と関係を持った。
(星を編むで真相が判明しました)
櫂、30歳 冬。
二階堂を通じてエッセイ連載と居酒屋のバイトで生活して、
バイト先で出会った女の部屋で暮らしていた。
母親にずっとお金を無心されていたため、
漫画家時代の貯金が底をつきマンションは売ってしまった。
女は30代半ば男に依存するまるで自分の母親のようなタイプ。
名前が秋美(あきみ)だった。
母親から電話で暁海が北原先生と結婚することを聞き、
引退することを決め植木に「引退します」とメッセージを送った。
そして、なけなしの十万を北原先生にご祝儀として送り、女と別れた。
ネットカフェで植木さんと通話しているとき吐血して
そのまま動けなくなった。
暁海、30歳 夏。
母親はシェアハウスに入居した。
北原先生に
「これから先の人生をずっと一人で生きていることが僕は怖いです。
君は生きることが怖くありませんか?
なら僕と共に生きませんか?」
といわれ結婚。
櫂、31歳 夏。
吐血は胃がんステージ3だった。
尚人の家に居候している。尚人はうつ病で引きこもり。
二階堂経由で適当なペンネームでウェブ記事のライターをしていた。
暁海の借金があと50万、あと一年足らずで縁を切れると
なんとなく「井上聡美」と検索してみたら刺繍作家としてネットに名前が出ていた。
心の底から喜び悲しみ今死にたいと思った。
最高で最低の気持ちの中で終われたら幸せなのだ。
尚人に言って2人で酒を飲んだ。
安藤圭も検索してみるとイギリスの花屋に勤めていることがわかった。
櫂は尚人に「もう一回漫画をやろうや」とお酒に任せて言った。
「すごいなあ。今夢みたいに楽しい。櫂、ありがとう」
翌朝、尚人は風呂場で自殺していた。
櫂はまた入院。その後は生活保護を受けることになった。
暁海、32歳 春。
瞳子から引き継いだ顧客ばかりだったが、
徐々に入れ替わって自分の顧客が増えた。
ウェディングベールの注文を受けたことが大きな転機になった。
新婦の知人経由で東京から雑誌の取材が来て
顔写真付きでインタビュー記事が乗りそこから一気に注文が増えた。
櫂の母親から連絡をもらいはじめて櫂が癌であることを聞いた。
櫂の母親は怖くてお見舞いにも行ってなくて様子を見に来てくれ
と頼まれた。
櫂に会いに行ったら、帰ってこないことをわかって北原先生は行かせる。
櫂、32歳 春。
入院中に頑張る理由がないと思っていると
暁海があらわれる。高円寺に部屋を借りていて2人で一緒に住む。
櫂は何かを書いている。二階堂と会っていた。
病院でもって数か月と言われた。
櫂は7月から治療をいったん休んで緩和ケアに。
そして在宅ケアへ。
今治の花火が見たいといい、島に帰ることを決め
櫂と暁海と北原先生と結と結の母親と一緒に花火を見た。
一発目の花火があがったとき櫂が死んだ。
暁海は櫂が死んでからから、また北原先生と結と暮らしている。
北原先生は定期的に明日見菜々の元に通っている。
暁海は籍はいつでも抜きますと北原先生に伝えてある。
暁海の元に二階堂から本が届いた。
『汝、星のごとく 青埜櫂』
という本だった。
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名言
・いつになったらあなたは自分の人生を生きるの。
・誰か私を助けて欲しい。
でも誰も私に触らないで欲しい。
私は弱い人間だと思い知らせないでほしい。
・子は子、親は親です。付属物のように考えると悲劇が生まれます。
・忘れられないことを無理に忘れない忘れようとしなくていいんですよ。
・私にとって愛は優しい形をしていない。
どうか元気でいて、
幸せでいて、
わたし以外を愛さないで、
わたしを忘れないで。
・愛と呪いと祈りは似ている。
・生まれるときに人にはそれぞれ与えられるものがある。
それは輝く宝石であったり、足にはめられた鉛の球だったりする。
なんであろうと投げ出せず、それはおそらく魂に組み込まれたものなのだろう。
生まれて死ぬまで誰もがあえぎながら己の魂を引きずる。
・心の底から喜び、悲しみ、今、死にたいと思った。
最高で最低の気持ちの中で終われたら幸せだ。
・自分で自分を養える、それは人が生きて行く上で最低限の武器です。
・特別強くなくていいからせめて子供に余計な荷物を背負わせないで。
少しでいいから荷物を持ってあげられる、それくらいの大人でいてよ。
・正しさなど誰にも分からないんです。
だから、きみももう捨ててしまいなさい。もしくは選びなさい。
・わたしは愛する男のために人生を誤りたい。
・幸せになれなくてもいいのだ。
ああ。ちがう、これがわたしの選んだ幸せなのだ。
・この風もこの季節も今一度きり。
・好きなところに飛んでいっていいよ。
ちゃんと追いかけるし、ちゃんと追いつくから。
おわりに
私もこれから『星を編む』を読みます。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
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