はじめに
中国でBL(Boys’ Love)作家が一斉摘発されたというニュースについてまとめました。
中国でBL作家200人超が摘発された衝撃
中国でBL(Boys’ Love)作家が一斉摘発されたというニュースが世界中に波紋を広げています。
台湾系サイト「海棠文学城」などに小説を投稿していた作家200人以上が当局に呼び出され、うち数十名が拘束または起訴されたと報じられました。
なぜBL創作が“わいせつ物”として摘発されたのか?
中国当局が問題視したのは、BL小説に含まれる同性間の性的描写。
これを「淫らで不健全な内容」として判断し、青少年に悪影響を与えるコンテンツとして取り締まり対象にしたのです。
2025年も続く国家キャンペーン「清朗行動」の一環として、ネット文学の規制は年々強化されており、BLジャンルもその矢面に立たされています。
清朗行動とは?なぜBL作品が標的に?
「清朗行動」は中国政府が進めるインターネット浄化政策の総称。
BL作品やLGBTQ+表現は“青少年に悪影響を与える”とされ、削除や摘発の対象になっている。
一見して健全化の名を借りた文化統制であり、自由な創作表現にとっては深刻な脅威だ。
清朗行動について詳しくはこちら↓
【過去事例】2018年にも“天一”作家が懲役10年に
今回の摘発だけでなく、2018年には「天一」と名乗る女性BL作家が、著作内の性描写により懲役10年6ヶ月の実刑判決を受けました。
この事件は世界中の創作者に衝撃を与え、中国の創作表現と法規制の境界線の曖昧さが問題視されてきました。
【証言】拘束されたBL作家の声「私たちは犯罪者じゃない」
英語メディア『them.』は、拘束された作家の一人が匿名でこう語ったと伝えています。
「私たちはただの創作者。犯罪者じゃない。BLを書くことが、そんなに悪いことなんですか?」
(出典:them.us)
また、摘発対象の多くが大学生や主婦、副業で執筆していた低所得女性であることも判明。
月数万円程度の収入であっても、「わいせつ出版物の販売」として高額な罰金や刑事処罰の対象になる恐れがあります。
BL文化とLGBTQ+表現が消される中国の“今”
中国では近年、テレビやドラマでもLGBTQ+キャラクターやBL的演出の排除が相次いでいます。
「同性恋(同性愛)は正常でない」というメッセージが間接的に強調され、表現の自由は大きく制限されています。
この流れは「出生率の向上」や「伝統的価値観の保護」を掲げた政策とリンクしており、国家主導による文化統制の一環と見る声もあります。
海外からの反応:「中国の表現規制は危険な前例」
今回の摘発に対し、海外メディアや人権団体からも批判の声が上がっています。
- 「創作が犯罪になる国。それが中国の現実だ」(LGBTQ+活動家のコメント)
- 「これは国家ぐるみの文化破壊だ」(米紙『Them』)
SNSでは #FreeDanmeiWriters などのハッシュタグも登場し、中国のBL作家を支援する動きも見られます。
今後の展望|BL作家たちはどこへ逃げる?
中国国内では、今後さらにネット小説投稿サイトの監視強化が予想されます。
そのため、一部の作家は以下のような動きに出ています。
- 海外のプラットフォーム(AO3・Wattpadなど)への移行
- VPNを使った匿名投稿
- 完全な創作停止
しかしそれでも摘発の手は緩まず、「国外でも発信していたことを理由に処罰された」例もあり、今後も言論の自由と国家権力の衝突は続くと見られています。
日本への影響は?:大きく3つの観点から分析
BL(ボーイズラブ)マンガ・小説が続々と更新中! – DMMブックス創作コミュニティの移動と接近
- 中国国内のBL作家・ファン層が日本へ“避難”する動きが進む可能性があります。
- すでに日本のBL作品は「安全で自由な創作文化」として評価されており、翻訳・転載・模倣の需要も高まる傾向があります。
- 一方で、日本のプラットフォーム(PixivやTwitter/Xなど)に中国ユーザーが流入し、表現トラブル・著作権問題が増える懸念もあります。
実例:
- Pixivでは以前から「中国ユーザーによる作品模倣・転載」が問題化しており、今後さらに活発化する可能性があります。
- 海外向けに「R-18作品の投稿制限」などを設ける日本側の企業も出てくる可能性があります。
同人イベントや商業出版への検閲リスクの波及
- 現時点では日本国内に対して中国政府からの直接的圧力は確認されていませんが、
中国市場を意識する出版社・IPホルダーが自主規制に動く可能性があります。
たとえば
- 中国での配信・出版を視野に入れている出版社が、
- BL表現を控えた作品づくり
- カップリング要素の削除・曖昧化
を選択するようになると、日本の作品傾向にも変化が出てくる可能性があります。
ファン・読者の意識の変化と“自由”の再評価
- SNS上では、「日本はまだ表現が自由でよかった」「中国こわい」という声が多数。
- 結果的に、日本のBL文化・LGBTQ+表現の寛容さが再評価される動きが見られています。
この文脈で日本でも「表現の自由って守られてる?」という内省的な議論が高まり、
日本の自主規制や炎上文化にも目が向けられる可能性もあります。
結論:日本に“じわじわ”と影響が及ぶ可能性大
分野 | 影響の内容 |
---|---|
同人文化 | 中国ユーザー流入・転載リスク増加 |
商業出版 | 海外展開を意識したBL表現の“薄味化” |
読者意識 | 表現の自由や自主規制への再注目 |
まとめ
今回の事件は単なる「BL小説の取り締まり」ではありません。
創作の自由・ジェンダー表現・文化の多様性を国家がどこまでコントロールするのか?
その“実験場”として、中国は今、世界から注視されています。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
コメント