はじめに
東野圭吾先生の『クスノキの番人』のネタバレです。
最近、続編である『クスノキの女神』は発売されたので
その本を読む前にこちらで『クスノキの番人』復習していってください。
発売日
『クスノキの番人』は2020年3月17日に実業之日本社から発売されました。
ハードカバーは1980円です。
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また、2023年4月7日に文庫化されました。
現在(2025年4月9日)のところ電子書籍化はしていません。
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導入
主人公、直井玲斗は不自由なく育ったとは言えない青年だった。
ある日会社を不当な理由で解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕されてしまう。
刑務所行きを覚悟したとき、とある人物に頼まれたという弁護士が現れた。
弁護士は依頼人からの
『その弁護士にすべてゆだねれば自由の身になれる。無事に釈放された際は、速やかに私のところに来なさい。あなたに命じたいことがあります。その命に従うなら今回の弁護士費用はすべて支払います。』
というメッセージを見せた。
依頼人に心当たりのない玲斗はコイントスで従うことに決めた。
依頼人は柳澤千舟。
そして玲斗が命じられたのは、月郷神社の管理人、クスノキの番人をすることだった。
登場人物
直井家
直井玲斗(なおいれいと)…主人公。月郷神社社務所管理主任。
直井美千恵(みちえ)…玲斗の母親。妻子持ちとの不倫で玲斗を妊娠。
相手は認知せず。養育費は払う約束だったが、玲斗が3歳になるころには支払われなくなった。
銀座のホステス。玲斗が8歳の時乳がんで死亡。
千舟の19歳年下の異母妹。
直井富美(ふみ)…美千恵の母。つまり玲斗の祖母。美千恵が亡くなったあと玲斗を高校卒業まで面倒見た。
直井宗一と結婚時は27歳でその年の差は22歳。
当時高校卒業直前だった柳澤千舟とは9歳しか離れていなかった。
直井宗一(なおいそういち)(柳澤宗一)…千舟の父親。都心の高校教師だった。
婿養子として柳澤恒子と結婚。
恒子の死亡後、教え子だった富美と再婚。美千恵の父親。玲斗の祖父。
千舟が40代半ばのとき食道がんになりその後死亡。
玲斗はまだ生まれていない。
柳澤家
柳澤千舟(やなぎさわちふね)…玲斗にクスノキの番人を頼んだ人物。
玲斗の伯母。60代。ヤナッツ・コーポレーション顧問。若いころは女帝といわれた経営者。
柳澤恒子(つねこ)…千舟の母。柳澤家の長女。跡取りが欲しいため、宗一を婿養子にした。
千舟が12歳の時、心臓病で死亡。
柳澤彦次郎(ひこじろう)…千舟の祖父。柳澤家はこの付近の大地主で元々は林業を営んでいたが、彦次郎とその弟たちが建築業や不動産業への展開を図った。
妻・靖代との間に娘が2人生まれる。
千舟が大学生のときくも膜下出血で死亡。
柳澤靖代(やすよ)…千舟の祖母。千舟30半ばのとき、老衰で死亡。
生前はクスノキの番人をしていた。
柳澤勝重(かつしげ)…千舟のハトコ。(恒子が勝重の父のいとこ)ヤナッツ・コーポレーション専務取締役。
柳澤将和(まさかず)…勝重の兄。ヤナッツ・コーポレーション代表取締役。
クスノキの祈念者
佐治寿明(さじとしあき)…満月のとき祈念にくる。娘・優美(ゆうみ)に浮気を疑われている。
佐治喜久夫(さじきくお)…寿明の兄。すでに死亡。
大場壮貴(おおばそうき)…和菓子メーカー『たくみや本舗』の跡取り息子。
飯倉孝吉(いいくらたかよし)…銭湯で玲斗に出会った。新月のときに祈念。
相関図

ネタバレ
クスノキの本当の役割
クスノキの中は空洞になっており、その中で願えば願いが叶うという、スピリチュアルスポットになっているが本当の役割は夜にある。
夜、柳澤家が作った蝋燭を燭台で灯し、祈念する。
新月の夜の祈念を『預念』といい、言葉通り念をクスノキに預ける。遺言などに使われる。
言葉や文章では伝えきれない想いをすべて預けることができる。
預念者がなんらかの縛りをすることができる。(受念者の指定など)
満月の夜の祈念を『受念』といい、血縁者が『預念』を受け取ることができる。
血縁者しか受け取れない。
預念者のことやその人との思い出をクスノキの中で考えることで受念できる。
佐治寿明の場合
浮気か
寿明の行動を不信に思った優美は後をつけて、月郷神社にたどり着いた。
寿明は若い女性の家を訪ねたり、渋谷で会ったりしていたから浮気を疑っていた。玲斗に事情を話し、協力関係になる。
真相
兄・喜久夫の預念を受念していた。
喜久夫は音楽の才能があったが音大に入り、自分が井の中の蛙だったことを知り、挫折。
その後アルコール依存症になる。音楽で焚きつけた母親を恨んだりするが最終的に純粋に音楽を、人生を楽しんでいればよかった。それが母の望みだったと気付く。
アルコール依存症での入院先でクスノキの事を知り喜久夫は母親のためつくったピアノの曲を預念した。
その曲を寿明が再現しようとする。受念しても鼻歌にしかできないから、それを譜面にし、ピアノで再現してくれていたのが、優美が不倫を疑っていた女性・岡崎実奈子。
うまく再現できなくて寿明も預念して優美が受念。
悪いことをしていたらそれも伝わってしまう。=預念するのはうしろめたいことがない証明。
優美は受念に成功。3人(寿明、優美、岡崎)で曲を再現することができた。
認知症の母親に施設でその曲を披露。
母親は喜久夫の曲だとわかった。
大場壮貴の場合
遺言
大場壮貴は『たくみや本舗』の会長・大場藤一郎の遺言に従って受念しにクスノキにきていた。
しかし、うまく受念することができない。
遺言では受念は壮貴のみが行うことになっていた。
真相
壮貴は藤一郎の本当の子供ではなかった。
当時、藤一郎は家政婦に手を出した。しかしその家政婦には交際相手がいた。
相手は既婚者だった。どっちの子を妊娠したかわからなかったが、藤一郎がどちらの子であっても自分の子供として受け入れる約束し実行した。
藤一郎は壮貴が14歳の時に真実を話した。
血の繋がりはなくても将来家を継がせる予定ですべて教えた。壮貴の出生を疑うものもいたが、藤一郎は預念することで、疑いを晴らす。
預念する=後ろめたいことがない証明。
常務取締役の福田守男は真実を藤一郎から聞いて知っていた。ただし、血が繋がってないことを壮貴がひとりで抱える必要があったから(ひとりで抱えさせろと言う会長の指示)、受念に来るしかなかった。
壮貴は玲斗の入れ知恵で受念したと嘘をつく。
しかし、ちゃんと父親の考えを受け継いでいたので福田は納得した。
柳澤千舟の場合
千舟が玲斗を助けた理由
千舟は異母妹である美千恵を可愛がれなかったことを後悔していた。宗一の願いは幸せな家庭、姉妹が仲良くすることだったはずだ。
美千恵へのお詫びの意味で玲斗を助けた。ちょうどクスノキの番人も探していた。
ヤナッツ・コーポレーション顧問引退の理由
認知障害を発症していたから。
玲斗の目には、古い考えの千舟を切り捨てるように見えた。役員会議もハブられたと思っていたが、真相は千舟が役員会議そのものを忘れていた。
千舟は飯倉の名前で予約して預念する。飯倉と玲斗のが銭湯で会ってることは知らない。
玲斗は飯倉がその日、預念してないと知り千舟が預念したと考え勝手に受念する。
そして、認知障害のことや会社の理念などすべてを知る。
千舟は引退後、旅に出て服毒自殺するつもりだった。
忘れるていくことが恐ろしい。という。玲斗は「忘れた事自体も忘れるからいいのでは?」と千舟の自殺を止めた。
おわりに
直井玲斗の成長の物語です。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
続編『クスノキの女神』のネタバレ記事を書きました。↓
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