はじめに
東野圭吾先生の『クスノキの女神』のネタバレです。
この記事を読むことで、『クスノキの女神』の内容が分かります。
発売日
2024年5月23日に実業之日本社から発売されました。ハードカバーで1980円です。
文庫化、電子書籍化は2025年4月9日現在、していません。
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『クスノキの番人』の続編です。
続編
『クスノキの女神』は『クスノキの番人』の続編であり、その設定を引き継いでいます。
クスノキシリーズとも呼ばれているようです。
設定・クスノキの力
主人公・直井玲斗は伯母である柳澤千舟から月郷神社のクスノキの番人を任された。
そのクスノキは中が空洞になっており、
夜、柳澤家が作った蝋燭を燭台で灯し、祈念することで『念』の伝達をしてきた。
新月の夜の祈念を『預念』といい、言葉通り念をクスノキに預ける。遺言などに使われる。
言葉や文章では伝えきれない想いをすべて預けることができる。
満月の夜の祈念を『受念』といい、血縁者が『預念』を受け取ることができる。血縁者しか受け取れない。
預念者のことやその人との思い出をクスノキの中で考えることで受念できる。
詳しくは↓の『クスノキの番人』ネタバレ記事をお読みください。
クスノキの女神導入
直井玲斗はクスノキの番人を続けていた。
ある日、自分の書いた詩集を月郷神社に置いて売ってほしいという女子高生・早川佑紀奈が現れた。
そんな折、月郷神社の近所で強盗致傷事件が起きた。被害者は森部俊彦という地元の資産家。
頭部を殴られ、置いてあった現金を盗まれた。犯人として逮捕されたのは久米田康作という人物。
しかし、事件の真相がクスノキの力によって明らかになっていく。
登場人物
直井玲斗(なおいれいと)…主人公。月郷神社社務所管理主任。現在は通信制の大学で経済学を学んでいる。
柳澤千舟(やなぎさわちふね)…玲斗の伯母。軽度認知障害を発症しているため、手帳にそのつどメモ、会話はボイスレコーダーで記録している。本作でさらに症状が進む。
大場壮貴(おおばそうき)…和菓子メーカー『たくみや本舗』の跡取り息子。前作で受念した。歳が近いこともあり玲斗との交流は続いている。
早川佑紀奈(はやかわゆきな)…『おーい、クスノキ』という詩集を200円で売りたいと月郷神社に持ち込んだ女子高生。
久米田康作(くめだこうさく)…月郷神社に置いてあった佑紀奈の詩集をお金を払わずに持っていこうとしたため玲斗に名前を知られる。元は父親の会社で肩書だけの副社長をしていたため、堪え性がなく、今も定職に就いていない。
久米田松子(くめだまつこ)…千舟の小学生時代の同級生。康作の母。久米田家は有名な木材商だったが旦那の死をきっかけに廃業。
森部俊彦(もりべとしひこ)…地元の資産家で強盗致傷事件の被害者。
針生元哉(はりゅうもとや)…脳腫瘍を摘出したため、記憶が一日しか保てない中学生。絵が得意でうまい。
針生冴子(はりゅうさえこ)…元哉の母。片親。
中里警部補…強盗致傷事件を追っている警部補。
ネタバレ
強盗致傷事件
犯人
犯人は早川佑紀奈
パパ活をしていて、その日は森部に家に連れてこられ、襲われそうになったためそばにあった灰皿で殴った。
森部はパパ活や淫行未遂がばれたらまずいので、大柄の男に襲われたと証言した。
久米田康作
強盗致傷事件にかかわる住居侵入罪で逮捕された。
実際、康作は森部宅に侵入しジャガーマスク盗った。それは昔森部に5万で売ったものだったが、もっと価値があると情報が入ったため取り返したつもりだった。
結局価値はなかった。
ジャガーマスクを盗ったあと、森部が佑紀奈を連れて帰ってきた。佑紀奈の犯行を目撃してしまう。
康作は詩集を取ったと佑紀奈に会っていて、詩で感動してたから助けたくなって黙ってた。
康作は犯行後クスノキに隠れてたから、預念されていた。
その日の預念者が預念中に心筋梗塞で倒れ、蝋燭をそのまま玲斗は救急車に同乗したのだ。
玲斗の案でそれを松子が受念すれば康作が犯人かわかるということになった。
受念した松子は千舟に話す。千舟は認知症が進んでるから常にボイスレコーダーを録音していて、
玲斗があとで盗み聞いて、事件の真相を知る。
早川佑紀奈
父親が6年前に職場の事故で死亡。母親も脳脊髄液減少症を患った早川家の家計は苦しかった。家計を助けようと詩集を売るが売れない。だからパパ活(食事だけ)をした。
真相を知った玲斗から康作が書いた詩集の感想だと言ってメッセージを渡された佑紀奈は
盗った現金をレターパックで森部に返した。
針生元哉
出会い
針生元哉は脳腫瘍の摘出手術を受けたが、まだすべて取り除けてない。
手術後1日しか記憶がもたなくなった。そのため明日の自分に向けて日記をつけている。千舟が通う認知症カフェで玲斗と出会う。
その後病院でも会う。玲斗とスター・ウォーズのマニアな話で気が合いまた会いたくて社務所に来た。
そこで佑紀奈の詩集を読みインスピレーションで絵を書く。
詩に出で来るクスノキは女神だとイメージした。
玲斗が元哉が描いた絵を佑紀奈に見せると、佑紀奈がそこから物語を作りたくなって2人で絵本をつくことになった。
クスノキは、女神。少年は悩みがあってクスノキに会いに来た。
梅大福
元哉は両親が離婚前に3人で食べた梅大福をもう一度食べたい。
いまはもう店がない。店主死んでた。元哉がクスノキに味を預念して、母冴子が受念。
元哉の想いに感動して、元哉の父親・藤岡にも受念させる。元哉は、自分の余命が2年と知っていた。
離婚後、父親に会うと楽しかったけど、母が日記を見るだろうと気を使って書いていなかった。
冴子と藤岡で梅大福をつくる。壮貴が協力してくれる。
元哉が佑紀奈と一緒にいたいという思いも受念していたため苦労の末、完成した梅大福は4人で食べた。
そのとき元哉は、『今が幸せ、未来なんてどうでもいい。この先、なにが起こるかなんて知らなくていい。』と話した。
絵本の結末
絵本の内容は“クスノキの女神が少年に未来を見せる”という方向で進んでいたが、
どんな未来にするかが決まっていなくて行きずまっていた。
しかし、佑紀奈が元哉のこの言葉を聞いて話を決めた。
少年がクスノキの女神に十年先を見せてもらっても、二十年先を見せてもらってもクスノキの女神を探していた。未来でも未来の心配をしているだけだった。
だから今を生きろみたいな絵本になった。
朗読会
完成した絵本は公民館で朗読会を開き千舟が朗読することになった。千舟の認知症はかなり進んでいる。
元哉は朗読会が自分にとって最高に幸せな記憶になるだろうからそれを預念しておいて、もう一度味わいたい。と言う話を玲斗につけていて、預念して死ぬ寸前に受念した。
自分で受念できるのは1回だけ。預念者が自分で受念すると他の人は受念できなくなる。
受念した晩、藤岡が幸せなまま殺してやろうとするが、冴子と玲斗が止めた。しかし、元哉はクスノキの中で受念中に死んでいた。
柳澤千舟
千舟は玲斗のことを忘れてしまった。
佑紀奈は朗読会が終わったあと自首。罪には問われなかった。
絵本が出版社から出版された。玲斗は介護施設に入所した千舟にその本を届けた。本屋さんだと思われている。
千舟『どんな絵本かしら?』
おわりに
クスノキの力で玲斗が人助けをするようになって成長を感じました。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
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