はじめに
町田そのこ先生の『わたしの知る花』ネタバレです。
発売日:2024/7/22
定価:1870円(10%税込)
ISBNコード:ISBN978-4-12-005806-6
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登場人物
安珠
主人公。私立真見ヶ丘高校1年生
貴博
安珠の彼氏。同級生。
瀬尾奏斗
安珠の幼馴染。男性。幼稚園からの仲良し。
悦子
安珠の祖母。『バーバー エツコ』を経営。シングルマザーだった。
葛城平
4ヶ月ほど前に、この菜々吾市に現れた『絵描きジジイ』
幸崎風太郎、奈々枝
平が住むアパートの大家さん夫婦
日輪香恵
旧姓兼平。かつて悦子の後輩だった。
小藤
平の描く物語の主人公。西宮小藤。
相関図
あらすじ
安珠は私立真見ヶ丘高校1年入学式から3ヶ月たったころ。
4ヶ月ほど前にこの菜々吾市に現れた『絵描きジジイ』を貴博が見た目だけで悪くいうから、安珠は貴博をふる。
その足で安珠はジジイに話しかける。描いている絵が見えてその絵をいいと思う。話しかけるが拒否される。
帰宅して祖母悦子に話すと悦子がジジイを知っていた。
あいつは葛城平って言うんだよ。わたしの昔馴染だよ。
悦子『バーバー エツコ』という理髪店を経営している。
菜々吾市の隣の加住町の生まれ。父親の転勤で長屋に引っ越した。隣の棟に平と母方の祖父母が住んでいた。
悦子「あいつはこのまちでひとと関わり合うことに倦んで出ていった。声をかけたりするもんじゃない。」
コロナでバーバーエツコの常連が減った。
かつてこの街にはダンスホールがあった。悦子は若い頃モテた。平と一度だけダンスを踊ったことがある。
貴博がストーカー化
それを奏斗に相談。奏斗の部屋で。
幼馴染の瀬尾奏斗とは菜々吾市立菜々吾保育園から意気投合していた。今も同じ高校に通っている。
奏斗は自分の性認識がわからない。自分の心のかたちをちゃんと見極めたい。
貴博に話そうとする。母が貴博を認めていたから。奏斗は安珠が好きだけど言えない。
奏斗は母に父親のように『立派な男になって欲しい』と言われている。父親は2歳のときに病死。
貴博に話すことに反対する安珠。焦ってどうするの?
僕は焦ってない。じっくり考えてきた。すれ違うふたり。奏斗ママに言えば?
奏斗はキレてしまう。問題を母さんに丸投げしようとしだけに感じたけど。
そこに奏斗ママがドーナツ持って部屋に入ってくる。奏斗ママはさり気なくふたりの距離を確認。奏斗はそれに気づく。ようは奏斗が手を出してないか(性行為)。そのことにも怒る。僕をなんだと思ってるの?馬鹿にするなよ!
安珠ははじめてそんなに怒る奏斗をみた。
涙が止まらない。菜々吾公園で泣いていると、気づいたら平が安珠をモデルに絵を描いていた。「平さん」と声をかける。悦子の名前は出さない。描いた絵は形だけ同じで服装とか髪形はちがう。見本がないと描けない。
絵を見せてもらうが「もうあんたのことは描かないから、話しかけないでくれ」と言われ、会って間もない人にまで嫌がられるくらいあたしって酷い人間なのかな。とますます涙が出る。
平が困り、泣いている理由を聞く。安珠「友達を傷つけた。悩みに寄り添えなかった。」
平 15歳ならそれだけ若かったらそんなこともあるだろう。まだやり直しだってできる。
その晩、奏斗が自殺未遂。OD。胃洗浄。
そのまま夏休みになり、安珠は奏斗家に通うが会ってもらえない。
帰りに公園で差し入れに買ったワッフルを食べていると貴博が現れた。
あの日奏斗は貴博に電話で話をしていた。貴博は驚いて「気持ち悪い」と言ってしまった。
ふたりは話して安珠は貴博も悪い人ではないと思う。
公園を出ようとして「バンドクラフトマーケット」をやっていることに気づき行ってみる。
奏斗はブローチをコレクションしているから、ブローチを買う。3本のひまわりが赤いリボンでまとめられているデザインの刺繍。
翌日、ブローチをもって奏斗に会いに行くが会ってもらえず、ブローチも壊されてしまう。
帰り道ひまわりの花束を持っている平に会う。平は絵のモデルにするためにひまわりを持っていた。重そうなひまわりを代わりに持ってあげて、安珠は平の家までついていく。
奏斗のことを相談。
「タイミングってのがある。」理解に深さを求めるなら、なにもかもさらけ出さなければいけない。平はひまわりを描きながら、話している。「何度だって話をしろ。」平は逃げて相手を傷つけた。
安珠はそのまま大家夫婦に会う。幸崎風太郎と奈々枝。
風太郎は小説家を目指している。
壊されたブローチとひまわりの花を交換する。平が花束にしてくれた。
平にとって花束を受け取ってもらうことは大きな意味があった。
花束を持ってもう一度奏斗に会いに行く。強引に部屋に入った。
そして少しずつ安珠と奏斗は話すようになった。
奏斗は安珠が好きだけど恋人として付き合いたいと思えるような心の安定はない。と安珠に話す。自分自身が『男』だという自信が欲しい。
そういえば最近平を見かけない。お礼を言いに安珠は平の家に行ってみる。
平は22日に亡くなっていた。今日は26日。
段ボールが残されていてその上にひまわりのブローチが乗っていた。渡したブローチではなく平が作ったもの。
奈々枝が言うには「花をもらってくれて嬉しかった。」ブローチが乗っていたから箱の中身のノートは安珠に見て欲しかったんじゃないか。
ノートに描かれているのは小藤という女の子と相棒のリスが冒険する話。
ノートに写真が挟まっていた。平と悦子のツーショットだった。
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ネタバレ
8年前
呉崎美園、今年30歳。
美園は母親・紫里に依存されて嫌だった。
紫里は旦那にも依存していて8年前に捨てられる。美園もそのころ大学進学を期に1人暮らし。就職が決まり入社式の日、父親が出ていった。
離婚後、紫里はすこやか苑(訪問介護)では働くようになる。
紫里は8年後(現在)癌で死んだ。
癌を治療したのは樋野崎大学付属病院。
遺品整理をしている美園のところに平が母の8年前の日記を持って訪ねてきた。
8年前、日輪香恵と紫里は知り合った。
そのころ平は樋野崎市立病院で清掃員をしていた。そのとき香恵の車椅子を押している紫里と出会った。香恵に会ったのは35年ぶり。
平は若い頃、香恵と付き合ってたが香恵が金持ち(日輪武史)に乗り換えた。でも、DVで逃げ出したいと平に頼んで、平は強盗として入って失敗して香恵の顔に傷をつけてしまう。
病院で再会したのは偶然。
香恵は平に生まれた街に戻ってほしいと手紙を書いていて、紫里から平に渡してもらおうとするけど、受け取らず。
死んで、美園が真相を香恵に聞いて平に言う。「あなたに故郷に帰ってほしい、とのことです。」
平「この樋野崎市は故郷から遠く離れている。まさか再会するとは思ってなかったよ」
香恵は主人の事業がうまくいかなくなって、親戚を頼って樋野崎市に来た。
平は物語のためにいろんな土地を転々としてたまたま樋野崎市に辿り着いた。
紫里の日記に住所と『ここにいます』と書かれていて美園がその『ひのさとの森』という介護施設に行く。やはり香恵が入所していた。紫里が死んだから香恵から真相を聞く。
強盗事件の真相
香恵が平に駆け落ちを持ち掛けた。
小藤の正体
安珠は小藤の正体をバーバーエツコの常連客である関口から聞いた。
小藤は平の父親が違う妹。
平の母はひとりで平を育てていて、平が3歳のころ自分の実家に平を置いて、別の人と再婚。そこで生まれたのが小藤。西宮小藤。
小藤の父親が酒癖が悪く、暴力を振るう。暴力が行き過ぎて母と小藤を殺してしまい、朝方我に返り火をつけて自殺。
小藤の11歳の誕生日前日だった。
葛城平の正体
安珠の祖父
悦子と平の生きざま
出会い
悦子と平との出会いは7歳。平の名前、ひとは等しく平等という意味で『平』
悦子の家族は両親と兄ふたり、姉ひとり、弟ふたり。
中3で進路を決める時、悦子は進学したいが親は働けという。親戚の経営している縫製工場で働け。女にかける学費はない。ミシンの使い方を覚えておけば嫁いでも役に立つ。
悦子は兄妹の中でいちばん勉強ができたのに。
平の両親。婿入りしていた父親が平が1歳のとき事故で亡くなった。母親、ゑい子は平が3歳のとき嫁いでいった。平を連れてこないことが条件だった。だから平は母方の祖父母に育てられた。
平は悦子をエコちゃんと呼ぶ。
中学3年生のふたり
中3のとき、平は母が家に来たことを悦子に話す。小藤に会ったこと。
このとき悦子と平は加住町に住んでて、隣の菜々吾市に小藤たちは住んでた。母(ゑい子)は祖母のところに逃げてきていた。しかし、祖母は夫の許可なく実家に帰るのは許されないんだよ、ていう考え。
小藤は物語が好き。
平は中学を卒業したら、働いて母と小藤と暮らしたいと話す。
悦子は進学を反対され、菜々吾市の理容店『ダンディ』住み込み店員募集を見つけてくる。
平に報告。小藤の誕生日前日。平は小藤に花束を渡す約束をしていた。日付が変わると同時に行く予定だった。
お互いの進路を話して恋心に気づきキスをする。日付がかわり、悦子は「行かないでよ」とお願いする。早朝まで一緒にいた。
十数分後、弟から一家心中の事件を知らされる。平は炎に包まれた家を見て助けに入り怪我した。
「ぼくのせいだよ。でも、もう、エコちゃんと前のようには、いられない。あの子に申し訳なくて、死にたくなる」
17歳
悦子は17歳のときにはダンスホールに通っていた。ダンディの先輩で5つ上の史ふみさんと。10歳上の大蔵さんという恋人がいた。父親を求めていた。
平は中学卒業後、社員寮のある工場に就職。いじめに合い、3年目にプレス機に左足を挟まれ退職。当時工場で事務員をしていた未亡人の家に転がり込んだ。その後スナックのママの部屋。半年から1年くらいで女の部屋を渡り歩いていた。
平は祖母を捨てた。殺された前日も母ゑい子は祖母を訪ねていたから。
20歳
悦子が20歳のとき後輩ができた。兼平香恵18歳。福岡からやってきた。
仕事に慣れたころダンスホールに連れて行ったら平が香恵を「小藤!」と呼んだ。平と香恵はすぐ付き合うようになった。香恵が平に一目ぼれして、積極的にせまった。平は就職。社員寮にはいり、頑張って1年で社員寮を出て部屋を借りて2人で住んだ。
付き合いだして2年が過ぎたころ日輪武史が、現れ香恵を見初めた。
香恵はある日突然、日輪家に嫁ぐと言ってダンディをやめた。
付き合って3年目で平は香恵に花束を渡そうとしていた。その夜振られた。
ダンディのおかみさんに言われ、悦子は平が心配で見に行く。平は仕事は辞めなかったけどセルフネグレクト状態に。平の女が「あいつの面倒見てやんなさいよ」というから部屋にいく。
強盗事件
なんとか立て直し、1年後例の事件(日輪家に強盗として押し入る)を起こす。
その前の晩、平はダンスホールにきた。悦子にはわざと気分を高めてるみたいに見えた。ワルツを踊る。「知らない土地に行くのもいいと思うんだ」
踊り終わって青木が写真を撮る。
平が強盗致傷罪で逮捕され、数カ月後、悦子は香恵を訪ねる。
香恵「平が本当に来てくれるか不安だった。試した。だって平は弱いじゃないですか!」
悦子は香恵を一生許さないと本人に言う。香恵は自分なりに落とし前をつける、と言う。
香恵のケジメ
平が強盗したあと、香恵はふたり男を誑かして逃げようとする。それは香恵のケジメ(自分が尻軽で平は悪くないと思わせるため)
平の出所
平が出所するとき(32歳)武史がお金を出して日輪家の使いが悦子のところに「生活の道筋をつけるように」ときた。だから刑務所に迎えにいった。
平は香恵が待っててくれていると信じていて、待っていなかったと知って生活が荒れる。
小藤みたいにおれのそのまんまを好きだと言ってくれるひとがどこにもいない。生きる意味がわからない。
ヤケクソになって平は悦子を抱く。悦子は等を妊娠するが、元々生理不順で気づかず。
2か月後
出所して2ヶ月すぎて平は街を出ていった。世間は事件を忘れていなかった。仕事が決まらない。決まってもいじめを受けた。このまちを出る。悦子についてきてとは言えなかった。悦子のため。でも悦子は怒る。
平が悦子の元からいなくなって3年後、ダンディに悦子宛ての手製の絵はがきが届いた。平から。そのとき2歳になる息子がいた。
平に自由にしていてほしいから、知らせず産んだ。
等を産んでから実家の母が一緒に暮らすようになった。36歳で『バーバーエツコ』を開店させた。
現在
悦子は散歩に出かけて平にばったり会う。
平「会いに行かなきゃと思ってたこれまで描き続けたものを見せたい」来週月曜日に会う約束をする。
約束の日が来る前に悦子は脳梗塞で倒れ、平は心臓発作でなくなった。
2人は再会できなかった。
悦子が意識不明から目覚める。1ヶ月眠っていた。
平は悦子が倒れた四日前になくなった。
安珠の父親、等が名前から平が父親だとわかる。反抗期のときにダンディのおばさんに『名前を並べればわかる』と言われていた。
平の描いていた物語の結末
いつもは小藤とお供のリス・アニの物語。
最後のノートだけアニが主役。
アニが大事な仲間のリスを探す旅。その探してるリスはエコといった。
アニはエコに会いたいけど会えない。過去に傷つけてしまったから。エコを笑顔にする幻のひまわりを捜し続けてる。
悦子と平は40代でお互い様子を見に家まで行っていた。声はかけず。
アニがエコを探す旅で一羽のうさぎ、アンと出会う。それは安珠。
アニはアンから幻のひまわりは自分で作るものだよ。って教えられてひまわりのブローチをつくることにする。
ひまわりのブローチは安珠へじゃなくて悦子へのものだった。
エピローグ
悦子は回復し、平の遺骨をひきとる。
奏斗は安珠に好きだと伝える。
「最後まで、生きていくしかないんだよねぇ。どれだけすれ違っても、大事な相手も一生懸命生きてると思って、願って。ひとは、それしかない。たまに会えたら、めっけもんさ。」
おわりに
祖父っぽいな、というのは悦子がシングルマザーという時点で予測できましたね。
ここまで読んでいただきありがとうごさいました。
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